高校三年生の A君は、同じ薬学部に通っているB先輩に薬学部合格の報告に行きました。
〜薬学部合格から入学までの間はどう過ごすのが良いの?〜
後輩:「やったー!! 先輩と同じ薬学部に合格しました。」
先輩:「おめでとう。よく頑張ったな。」
後輩:「受験勉強は大変でしたが、合格できて安心しました。これで薬剤師になれると思うとうれしいです。」
先輩:「受験勉強、お疲れ様。でも、これでゴールじゃないよ?」
後輩:「知っています。国家試験に合格しないといけないんでしょ? でも合格率8割以上の試験ですから、心配しなくても大丈夫ですよ。」
先輩:「国家試験の前に、薬学部では進級するにも苦労する人が多いことは知ってる?」
後輩:「どういうことですか?」
先輩:「薬学部では1年生から徐々に専門科目の勉強が始まるんだけど、高校の授業と比べて結構難しい内容を勉強するから、油断していると普通に留年することもあるから気を付けてね。」
先輩:「例えば、1年生で履修する『有機化学』『物理化学』『分析化学』などは、授業についていけずに苦労している人結構いたよ。最悪、単位が取れずに留年する人もいるよ。」
後輩:「1年生で留年ですか?! 冗談でしょ?」
先輩:「実際に同期で留年した人いるよ。」
後輩:「そんなに難しいんですか?」
先輩:「高校の化学、生物をしっかりと理解していたらある程度は大丈夫なんだけど、割と高校の内容忘れている人多いのよ。薬学部の授業は量が多く、その上ペースも早いから、気付いた時には手遅れになっていることもある。入学までまだ時間があるから、今のうちに高校の復習をしっかりとやっておいた方がいいよ。」
後輩:「ええ、やっと遊べると思ったのに・・・」
先輩:「受験が終わって安心して、遊んでいた人が薬学部に入ってから苦労していることが多いから、今のうちから準備しておいた方がいいよ。」
後輩:「・・・分かりました。」
(入学前の勉強について)
後輩:では、先輩は入学前にはどんなことをしていたんですか?
先輩:僕は、推薦入試で合格して、生物の復習を始めたよ。
後輩:「先輩、大学入学までに高校の復習をしておいた方がよいということですが、具体的には何を勉強すればいいですか?」
先輩:「高校では理科は何を選択していた?」
後輩:「化学と生物です」
先輩:「受験ではどちらの科目を選択した?」
後輩:「化学です」
先輩:「それだと、生物と物理を重点的に勉強した方がいいよ。もちろん化学もだけど。」
後輩:「物理ですか?! 物理は履修してなかったですが、必要なのですか?」
先輩:「薬学部では、物理・化学・生物、どれも授業で必要になるよ。
例えば、実験で使用する測定機器。どういった仕組みで測定しているか、その原理を学習する科目として『分析化学』などがあるけど、光や熱、X線などの物理現象を理解しなければならない。これは、高校の物理で習うことが基礎になっているんだ。」
後輩:「大学ではそんなことまで習うのですね」
先輩:「高校だと理科は3科目から2科目を選択することになるけど、私立大の薬学部は1科目で受験できるから、受験で使わなかった科目はどうしても弱くなってしまう。推薦入試や指定校のように学科試験が無い場合はもっと大変。それをそのままにしておくと、大学の授業についていけずに苦労することになるって訳。」
後輩「なんか薬学部って大変そうですね」
後輩「化学や生物も復習しておいた方がいい範囲はありますか?」
先輩:「そうだなあ、生物だと、細胞や酵素、代謝、内分泌などヒトに関連する分野は大学に入ってからも必要になるからよく復習しておいた方がいいよ。化学は、理論化学と有機化学が重要だね。理論化学は大学だと『物理化学』って名前になるけど、理論化学の計算はどれも使うからね。有機化学はちょっと特殊で、高校と大学では勉強する内容が違うんだ。高校では結果を覚えてその使い方を勉強するけど、大学では過程を勉強することになる。だから、高校では有機化学は暗記科目って印象が強いかもしれないが、大学では暗記で対応できない科目って印象で、勉強する内容が全然違う。でも扱う化学反応は同じだから、復習しておいて損はないよ。」
後輩:「話を聞いていると薬学部に通うのが不安になってきました・・・」
先輩:「準備をしっかりとしておけば大丈夫。」
〈次回に続きます‥〉