薬学部では、4年生になると「CBT(Computer-Based Testing)」という試験が実施されます。
これは各大学独自の試験ではなく、全国の薬学部共通の試験です。
CBTは、5年生から始まる実務実習に必要な知識が修得できているかを確認する試験となっており、5年生への進級要件にもなっています。
●実施日程
大学によって異なります。概ね12月~1月頃に実施されます。
●試験範囲
1年生~4年生で履修した科目(※語学、一般教養は除く)が全て試験範囲となります。
1~2年生で履修する『基礎科目(ゾーン1)』と
2~4年生で履修する『専門科目(ゾーン2、ゾーン3)』に分けられます。
ゾーン1 |
ゾーン2 |
ゾーン3 |
|||
物理系薬学 |
30題 |
医療薬学 (薬理・薬物治療系) |
60題 |
基本事項 |
10題 |
化学系薬学 |
35題 |
医療薬学 (情報系) |
15題 |
薬学と社会 |
20題 |
生物系薬学 |
35題 |
医療薬学 (薬剤系) |
35題 |
衛生薬学 |
40題 |
|
|
|
|
薬学臨床 |
30題 |
合計 |
100題 |
|
110題 |
|
100題 |
●試験の形式
パソコンを使用した試験となり、画面に表示された問題(選択式)に解答する形式となります。
問題はランダムに表示されるため、受験生によって解答する問題が異なりますが、
難易度が同じになるように調整されています。
試験時間は各ゾーン120分です。
●合格基準
60%以上の正答率(310題中186題以上正解)で合格です。
ゾーンごとの足切り点はありません。
●合格率
CBTの合格率は、全国平均で97~98%前後となります。かなり高い合格率ですが、本試験で不合格となることもある(再試験が実施されます)ので、油断はできません。
●対策について
CBTの試験範囲はかなり広いです(下記参照)。そのため、直近の短期間での準備はお勧めできません。
【ゾーン1】
<物理系薬学に該当する科目>
物理化学/分析化学/放射化学/機器分析学 など
<化学系薬学に該当する科目>
有機化学/天然物化学/生薬学/無機化学/医薬品化学 など
<生物系薬学に該当する科目>
生化学/細胞生物学/生理学/免疫学/解剖学/微生物学 など
【ゾーン2】
<医療薬学に該当する科目>
薬理学/薬物動態学/薬剤学/感染症学/薬物治療学/物理製剤学/病態治療学/医薬品情報学 など
【ゾーン3】
<薬学と社会/衛生薬学/薬学臨床に該当する科目>
公衆衛生学/薬事関連法規/薬と経済/栄養化学/医療制度/医療と法/地域医療学 など
理想としては、1~3年生では大学の授業を毎回復習し、その都度理解を深めていき、4年生で全体の復習を行うことで学力の底上げをしたいところですが、実現することはなかなか難しいと思います。現実的には、1~3年生は進級に全力を注ぎ、4年生になって初めてCBTを意識するようになります。つまり、4年生の4月からCBTに向けた対策をスタートすることになります。
対策としては
①【ゾーン1】(主に1~3年で学習した範囲)の範囲を6月頃までにひと通り復習。苦手な部分をリストアップする。ブランクのある科目が多い範囲であるため、対策に時間のかかる人が多いです。2周目は苦手分野の強化に特化。
②【ゾーン2】(主に2~3年で学習した範囲)の範囲を8~9月頃までにひと通り復習。比較的内容を覚えている人が多いが、内容や範囲のボリュームが膨大であるため、単純に時間がかかります。2周目は苦手分野の強化に特化。
③【ゾーン3】(主に3~4年で学習した範囲)の範囲は暗記科目が多いため、9~10月頃から本腰をいれて覚えていきましょう。
CBTの対策は、普段の定期試験とは比較できないほど対象範囲が広くなり、1年生~4年生で学習する範囲全ての対策が必要になります。特に、「ゾーン1」の「生物系薬学」は「ゾーン2」の基礎(土台)になっていますので、関連付けた対策が必要です。しかし、その関連性を無視して個別に勉強されている学生が非常に多いです。
清光では「知識の関連付け」に重点をおいています。1つ1つの知識を別々に理解しようとすると膨大な量になってしまいます。しかし、それらの知識を関連付けることができると、自ら導き出すことができるようになったり、1つ思い出すだけで関連する他の知識まで一緒に思い出すことができるようになったりします。知識が定着しやすくなり、忘れにくくなります。
知識のインプットができるようになれば、次はアウトプット(演習)です。アウトプットの際には、インプットの時にはわからない「自分の間違い方」を自覚することが大切です。「思い出せない」「計算ミス」「他の似た選択肢と迷ってしまう」などいろいろなタイプがあり、それぞれ改善対策が異なります。清光は個別授業ですので、このように一人一人の弱点に合わせた対策も実施することが可能です。